AEDの必要性とは?なぜAEDの設置が求められるか、背景と理由。

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最近はAEDの認知度が高まり、NHKをはじめ多くのTV局の番組で取り上げられるようになりました。

何度も何度もTVに取り上げられる程のAED(自動体外式除細動器)の必要性・重要性についてはご存知でしたか?

救急車を待つだけがいい。心臓マッサージだけでいいと思っていませんか?

当記事では、AEDがなぜ必要とされるかが分かるよう、AEDが必要とされる症状の発生数や、なぜ救急車の到着を待たずAEDを使用する必要があるかなど、AEDが必要とされる背景と理由をまとめました。

目次

  1. 日本の心停止者数
  2. 心停止後の救命率の低下。「1分で7~10%」
  3. 救急車が到着するまでの時間
  4. 目撃した人の行動が重要
  5. 倒れた原因は不問。まずはAEDを
  6. AED使用未使用の救命率の違い(結果のデータ)

1.日本の心停止者数

日本では、心臓病による死亡は年々増えてきており、日本人の死亡原因の第2位をしめています。病院外での突然の心停止による死亡、いわゆる心臓突然死は年間6万人に及ぶといわれています。

交通事故死者数は2012年、4,411人でしたがその12倍以上の数字です。火災による死亡者数は1,993人(平成16年消防庁調べ)である事を考えても、心臓突然死による死者数がいかに多いかが分かります。

交通事故の12倍!火災の30倍以上!

単純計算で毎日160人以上の人が突然命を失っている事になります。

心停止は自宅で起きる場合が最も多く、全てが救命可能な時間の間に発見して対処ができる事例ではないですが、目撃のあった心停止の総数で2万件を越しています。

その中でAEDが使用されたのは700件程と、3%程に過ぎないというデータも出ています。AEDの活用によって、救命率を伸ばせる余地が大いにあると考える事ができます。

心臓突然死の多くは、心室細動という不整脈によるものです。心臓が突然の心臓のけいれんによって、プルプルと震え、ポンプとして機能しなくなる症状で、時間とともに振れ幅が徐々に小さくなっていって、何もしなければやがては完全に止まってしまいます。

心室細動と正常なリズムの心電図

心臓突然死が予知できれば対処はしやすいですが、予知が難しいのが現状です。例えば、それまで病気になった事の無い人の初めての不調の症状が心停止というケースが、心筋梗塞による死亡の3分の1を占めるという情報もあります。

なかなか、自分が心臓突然死に陥ると思っている人は少ないと思いますが、心臓突然死は他人事ではなく、だれにでも起こりえることだと認識していただけたらと思います。

筆者注記1:心停止する理由は様々
心停止する理由は様々です。病気などの他に心臓震盪(しんぞうしんとう)と呼ばれる、胸に衝撃が加わって心停止するケースがあります。主にスポーツの最中に胸にボールが当たって心停止する事例です。

いつ誰にどんな理由で起こるかはわかりません。

2.心停止後の救命率の低下。「1分で7~10%」

心臓突然死の後、1分遅れる毎に、救命率は7~10%低下すると言われています。目安として、5分以内の電気ショックが必要という主張があります。

毎分10%低下するとして計算すると、5分で救命率は50%、10分で0%となります。10分たってしまったら助からない、というのは私にとっては衝撃的な数字でしたが、心臓突然死が起こったときは、1分1秒が生死を分ける状況といえます。

迅速な対処が何より重要なので、この事を頭にいれて、イザというときには迅速な行動をとっていただけたらと思います。

除細動までの時間と救命率のグラフ

筆者注記2:10分後には再び会えない。
さっきまで一緒に話していた友人が、笑っていた家族が、心停止から10分後にはほとんど助かる可能性がなくなってしまいます。声を大にして言いたい。まずは声を掛けて欲しい。

最初の一歩、心肺蘇生法については以下で確認できます。

『一次救命処置(心配蘇生法とAED)の手順7ステップ+α』

『小児・乳児の救命手順、小児一次救命処置(PBLS)【特に乳児の保護者様へ】』

3.救急車が到着するまでの時間

日本における救急車の現場到着時間の平均は、全国平均で通報から約8分後といわれています。一般的には人口の多い都市圏だともっと短く、地方だともっと長いと想定されます。

下に、傷病者の発見から到着、AEDの使用までにかかるであろう時間を図にしましたが、発見から通報までの時間や、到着してから電気ショックを行うまでにかかる時間を考えると、13分程かかってしまうのではないかと思います。

救急車の到着を何もせずに待っていたのでは、殆ど救命できない事になります。

倒れてから救急車が来るまでの時間とその詳細

筆者注記3:必ず119番通報をしよう!
まずは119番通報して、救急車を呼ぶ事が大事です。救急車に同乗している救急救命士や病院で医師が行う二次救命処置と言うものがあり、あなたが行う心肺蘇生やAEDでの救命処置を一次救命処置と呼びます。

この1次救命と2次救命を含む「救命の連鎖」が命を助けます。

『救命の連鎖とは。覚えておきたい救命効果を高める4つの取り組み。』

4.目撃した人の行動が重要

4-1.救急車を待たずに行動する

ここまでのところで、心臓突然死に陥った場合、5分以内の電気ショックが理想とされている一方、救急車を待っていたら10分以上の時間が過ぎてしまい、救命が難しい状況に陥る事が分かりました。

傷病者が倒れるところを発見したあなたが、行動することが非常に重要なのです。

よくある先入観として、「心臓突然死は非常に難しい病気で、治療には専門家の判断が必要だ。」というものがあるように思います。

しかし、実際のところ病院に運ばれてから高度な治療をしても、救命率は殆ど変わらないといわれています。治療技術よりも、救命活動が行われる時間のほうがはるかに大切なのです。

心臓突然死状態に陥ったあといかに短い時間で何をできるかで、ほぼすべてが決まってしまうのです。

つまり心停止した人を救命できるのは病院にいる高度な技術を持った医者ではなく、倒れた人を目撃した一般の人たちという事になります。

4-2.目撃したら心臓マッサージとAED

傷病者を発見した人が行う事が望まれる行為として、胸骨圧迫(心臓マッサージ)による心肺蘇生があります。脳や心臓は、心停止によって血流が途絶えると数分で障害をうけてしまいます。ここでうけたダメージは回復しないといわれているので、後遺症を残さないためには、ダメージを受ける前に対処する必要があります。

そこで電気ショックまでの間、ポンプとして働いていない心臓の代わりに、脳や心臓に血液を送り出す必要があります。また、心室細動の状態で何もしないと、心室細動の振れ幅がだんだん小さくなっていき、やがて完全に止まってしまいます。

この完全に止まった状態は心静止ともよばれますが、この状態ではAEDは電気ショックが必要と判断しません。心臓マッサージによって心室細動を維持する事も、救命のために非常に重要です。心肺蘇生によって生存率は2~3倍上昇し、心臓マッサージ×AEDで4倍の救命率が実現するとの主張もあります。

下のグラフは、何もしなかった場合(黒線)と、心肺蘇生法(CPR)を行った場合(青線)の救命率の推移のグラフです。

グラフを見ると、例えば心肺蘇生をしなかった場合は5分で救命率が50%にまで下がりますが、心肺蘇生をする事により50%まで低下するまでの時間が8分となります。この間にAEDが使用されたり、救急隊が到着し処置が行われる事で救命の可能性が高まる事を考えると、心肺蘇生法を行う事が非常に重要な事が分かります。

心停止から除細動までの時間と病院退院率

5.倒れた原因は不問。まずはAEDを

ここまでのところで、心臓突然死で倒れた傷病者に対しては、傷病者を発見した人が救命活動を行う必要がある事をご理解いただけたと思います。

しかし、見ず知らずの人に胸骨圧迫をしたり、AEDを使用するのは非常に勇気がいることだと思います。また、よくある先入観として、「傷病者の状況をみてAEDを使用する必要があるかどうか判断するのは難しいだろう。」というものがあります。

ここで一つ、必ず覚えておいて欲しいのは、AEDは電気ショックを行う機器であるとともに、電気ショックが必要かどうかを判断する機器でもある、という事です。医師ではない一般市民がAEDを使用できるのは、AEDが判断する機能を備え付けているからです。

ご自身がAEDが必要かどうかを判断するのではなく、まず、AEDを起動して心電図を読み込ませ、電気ショックが必要かどうか判断してもらうというイメージで、AEDを使用していただけたらと思います。

また、「脳梗塞など脳の原因で倒れている場合でもAEDを使用して大丈夫なのかどうか」と迷う人もいるようですが、心停止とは病名ではなく、状態です。原因が脳であっても心臓であっても、処置は同じだと覚えておいてください。

「まよったら、AEDを使う」

このイメージを持っておいていただけたらと思います。

■倒れた人をみつけた時の流れ

①119番通報とAEDの要請 ②心肺蘇生(胸骨圧迫) ③AEDによる電気ショック ④救急隊が到着するまで心肺蘇生を継続

筆者注記4:とにかくやってみる。使ってみる。
心肺蘇生は完璧ではなくても、やれば助かる人が増える可能性が高いです。また、心停止状態では、何もしなかったら確実に亡くなってしまいます。倒れた人を見つけたときは、勇気を出して心肺蘇生とAEDの使用をしていただけたらと思います。

6.AED使用未使用の救命率の違い(結果のデータ)

総務省の資料(応急手当の普及啓発活動の推進に関する実施要綱の一部改正(平成23年8月31日))によると、平成22年、心原性であり、一般市民により心肺停止の時点が目撃された症例は21,112件でした。心原性心肺停止全体の1ヵ月後の生存率は13.8%、1ヵ月後の社会復帰率は9.0%でした。

そのうち、一般市民によりAEDが使用された583件(2.8%)では、1ヵ月後生存は258件(44.3%)で、1ヵ月後社会復帰は209件(35.8%)でした。

一方、一般市民により除細動が行われなかった症例は20,529件で、そのうち救急隊により除細動が実施された症例が5573件(27.1%)で、1ヵ月後生存は1,464件(26.3%)、1ヵ月後社会復帰は974件(17.5%)でした。

一般市民による早期の除細動により、救命効果は約2倍という計算になります。

AEDの効果と救命率の向上の図

情報元:http://www.fdma.go.jp/neuter/topics/houdou/h23/2308/230831_1houdou/01_houdoushiryou.pdf

筆者注記5:その時の救命率だけではなく、その後の社会復帰率にも影響します。
すばやく救命処置やAEDを使う事で、命が助かる可能性が上がるのはもちろん、早く社会復帰できるかどうかにも大きく影響します。

まとめ

AEDが必要とされる背景についてまとめてきました。TVに何度も何度も取り上げられる程の、AEDの重要性についてご理解いただけたかと思います。ただし、AEDがあってもそれを使用できる人がいないと意味はありません。この記事をきっかけに、AEDの講習などに参加しスキルをつけ、イザという時にAEDを使用できるようになっていただけたら幸いです。

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