あなたの会社は設置しなくて大丈夫?AEDの設置基準まとめ。

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AEDについて、自社に設置する必要があるのかどうか気になる事はないでしょうか。

AEDの設置基準があるならそれに応じて設置を検討しようと考える人も多いと思います。実際のところ、横浜市にはAED設置の条例があり、一定の基準に該当する施設には設置が義務付けられています。

横浜市のように義務化されている自治体はまだまれですが、茨城県でAED設置の条例ができたり、普及を行政が後押しする動きは拡大しています。

設置基準のガイドラインがあります。
一般的なAED設置の基準としては、厚生労働省より「AEDの適正配置に関するガイドライン」が出されています。この内容はAED設置の必要性の根拠となるものだと思います。
当記事では、AEDの設置検討の参考となるよう、AED適正配置のガイドラインと横浜市の条例を紹介します。

目次

  1. AEDの適正配置に関するガイドラインについて
  2. 横浜市の条例について

1.AEDの適正配置に関するガイドラインについて

1-1.ガイドラインの概要

このガイドラインでは、AEDを設置すべき業種や、AEDを配置する際に気をつけるべき事などがまとめられています。

基本的な考え方として、以下の内容に当てはまる場所に配置が望まれるというところからスタートし、具体的な業種や設置時に考慮すべき内容に広がっていっています。

AEDの効率的・効果的設置に当たって考慮すべきこと

  1. 心停止(中でも電気ショックの適応である心室細動)の発生頻度が高い(人が多い、ハイリスクな人が多い)
  2. 心停止のリスクがあるイベントが行われる(心臓震盪のリスクがある球場、マラソンなどリスクの高いスポーツが行われる競技場など
  3. 救助の手がある/心停止を目撃される可能性が高い(人が多い、視界がよい)
  4. 救急隊到着までに時間を要する(旅客機、遠隔地、島しょ部、山間等)

また、心停止状態に陥った場合、救命率が1分間に7%~10%低下するといわれており、5分以内にAEDを使用する事が推奨されています。この5分以内にAEDが使用できる状況を整える事を理想として、配置について検討されています。

※心停止から10分たつと救命は難しい。
救命率の低下の度合いから考えても、心停止して何もせず10分たってしまったら救命は難しいといわれています。心臓突然死が発生した際はまさに1分1秒が争われる状況で、5分以内の除細動が実現できるかどうかは生死にかかわる非常に重要な要因となります。

厚生労働省のガイドライン紹介のページ:http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000024514.html

1-2.AEDの設置が推奨される業種

AEDの設置が推奨される施設の具体例として、下に示す業種が挙げられています。論文の本文中には、それぞれの施設で推奨される理由や、従業員数、来客数などの基準についても説明されているので、ご自身の業界が該当する場合は本文(下にURLを記載してあります)を確認してみて下さい。

AEDの設置が推奨される施設の具体例

  1. 駅・空港
  2. 旅客機、長距離電車・長距離旅客船などの長距離輸送機関
  3. スポーツジムおよびスポーツ関連施設
  4. デパート・スーパー・飲食店などを含む大規模な商業施設
  5. 多数集客施設
  6. 市役所、公民館、市民会館等の比較的規模の大きな公共施設
  7. 交番、消防署等の人口密集地域にある公共施設
  8. 高齢者のための介護・福祉施設
  9. 学校(小学校、中学校、高等学校、大学、専門学校等)
  10. 会社、工場、作業場
  11. 遊興施設
  12. 大規模なホテル・コンベンション
  13. その他
    • 13-1.一次救命の効果的実施が求められるサービス
    • 13-2.島しょ部および山間部などの遠隔地・過疎地、山岳地域など、救急隊や医療の提供までに時間を要する場所

ガイドライン本文:http://www.mhlw.go.jp/file/04-Houdouhappyou-10802000-Iseikyoku-Shidouka/0000024513.pdf

1-3.施設内での配置に当たって考慮すべきこと

AEDを設置する際の配置の仕方について、考慮すべき事柄もまとめられています。推奨される業種において正しくAEDが設置されたときにAEDが効率よく活用されるようになります。AEDを設置する際は、この内容についても理解して正しく設置していただけたらと思います。

AEDの施設内での配置に当たって考慮すべきこと

  1. 心停止から5分以内に除細動が可能な配置
    • -現場から片道1分以内の密度で配置
    • -高層ビルなどではエレベーターや階段近くへの配置
    • -広い工場などでは、AED配置場所への通報によって、AED管理者が現場に直行する体制、自転車やバイクなどの移動手段を活用した時間短縮を考慮
  2. 分かりやすい場所(入り口付近、普段から目に入る場所、多くの人が通る場所、目立つ看板)
  3. 誰もがアクセスできる(カギをかけない、あるいはガードマン等、常に使用できる人がいる)
  4. 心停止のリスクがある場所(運動場や体育館など)の近くへの配置
  5. AED配置場所の周知(施設案内図へのAED配置図の表示、エレベーター内パネルにAED配置フロアの明示等)
  6. 壊れにくく管理しやすい環境への配置

上の内容の1番にある、「5分以内に除細動が可能な配置」というのが1つのキーポイントだと思っています。有事があった際、5分で除細動できるAEDの配置ができれば、救命率が高まることが予想されます。

この、5分で行って帰ってこれる距離というのは一体どのくらいの距離でしょうか。これについて、別の論文で以下のように記載されています。

5分以内にAEDを用いた除細動が可能な体制が必要である。目撃後2分以内にAEDの必要性を認識し、到着後1分で電気ショックをかけることができると仮定すれば、心停止の現場から往復2分、片道1分以内の場所にAEDを設置する必要がある。自足9Kmの速歩が可能と想定すれば、1分で150m到達できることになり、直線距離であればおよそ300m間隔の配置で対応可能となる。

参照:AEDの戦略的配置にむけて 三田村秀雄(http://www.jhf.or.jp/aed/images/44-4shinzo.pdf)

5分の除細動を可能にするためには、平地であればおよそ300m間隔での配置が必要との事です。この距離にAEDがあるかどうか、一度自宅や自社の周りを確認してみると良いと思います。

1-4.業種ごとの設置の基準について

1-2.AEDの設置が推奨される業種で記載した業種毎の設置基準の中には、基準となる社員数や利用者数などの具体的な数字がでているものもあります。この章では具体的な数字が記載されている業種をピックアップし、数字の記載がある部分を抽出してまとめました。

・駅・空港

1日の平均乗降数が10,000人以上の駅ではAED設置が望ましい。

・スポーツジムおよびスポーツ関連施設

ゴルフの場合は、5分以内の除細動が可能となるようにコース内に複数台のAEDを設置する事が望ましい。

・デパート、スーパー・飲食店などを含む大規模な商業施設

1日5,000人以上の利用者数のある施設、(常時、成人が250名以上いる規模を目安 とする。)には複数台のAEDを計画的に配置することが望ましい。

・高齢者のための介護・福祉施設

50人以上の高齢者施設など高齢者のための施設では、一定以上の頻度で心停止が 発生しており、AEDの設置が望ましい。

・会社、工場、作業場

多くの社員を抱える会社、工場、作業場などはAED設置を考慮すべき施設である。例えば、50歳以上の社員が250人以上働く場所・施設にはAEDを設置する事が望ましい。

このように、成人が常時250名以上いるかどうかが1つの設置の基準となっています。一方高齢者では50名以上が基準となっています。これについて、2005年のヨーロッパのガイドラインでは少なくとも2年に1件院外心停止が発生する可能性がある施設をAED設置に適している場所として推奨しており、上記の人数の基準は、このガイドラインの基準を参考に設定されているのと思われます。

なお、数字の基準とは別になりますが、心臓突然死のリスクが高いスポーツとして、「サッカー」、「水泳」、「マラソン」、「野球」、「ラグビー」、「空手」などがガイドライン中で挙げられています。これらのスポーツに関わるスポーツ施設ではAEDを設置する事が望ましいでしょう。

2.横浜市の条例について

2-1.条例の概要

横浜市は、平成21年より一定規模以上の建物に、AEDなどの救急資器材を整備することを義務化しました。下に条例についての説明資料の冒頭の文章を引用いたします。

平成 21 年4月1日から、横浜市救急条例第 6 条及び条例に基づく横浜市安全管理局長告示により、一定規模以上の建物や、スポーツ施設、駅舎などに、AEDなどの救急資器材を整備することが義務化されました。また、傷病者が発生した場合には応急手当を行うことができる体制を整備するよう努めることとなりました。

※横浜市の条例の本文等:http://www.city.yokohama.lg.jp/shobo/18syosyo/isogo/image/aed.pdf

2-2.設置の基準

横浜市の条例は、下表の条件に該当する施設にAEDの設置を義務化しています。面積の広い施設や、階数の高い建物、入り口の制限される地下街など、外からの助けの到着に時間のかかる施設への設置を義務付けている印象です。

1. 横浜市救急条例第 6 条により設置が必要な防火対象物

・劇場、映画館、演芸場又は観覧場
・公会堂又は集会場
・キャバレー、カフェ
・遊技場
・インターネットカフェ等
階数が 11 以上で、かつ、延べ面積が10,000 平方メートル以上のもの又は階数が5以上で、かつ、延べ面積が20,000 平方メートル以上のもの
・料亭、割烹
・飲食店
・百貨店、マーケットその他の物品販売業を営む店舗又は展示場
・旅館、ホテル、宿泊所その他これらに類するもの
・病院、診療所又は助産所
・老人福祉施設、有料老人ホーム、介護老人保健施設等
・幼稚園又は特別支援学校
・蒸気浴場、熱気浴場
・特定複合用途防火対象物
・地下街 延べ面積が 1,000 平方メートル以上のもの

2.安全管理局告示第1号により設置が必要な防火対象物

・車両の停車場(バスターミナルを除く)
・屋内プール、スポーツクラブ又はフィットネスクラブその他これらに類する用途に供する部分の床面積が 1,000 平方メートル以上のもの
・上記のいずれかに該当する部分を含むもの

まとめ

心臓突然死が発生した際、AEDによる除細動を5分以内に行う事ができるかどうかが非常に重要な問題です。AED適正配置のガイドラインでは、これを可能にできるように、心臓突然死が発生しやすいと考えられる施設へのAEDの導入を推奨し、適正な配置の方法についても提言がされています。

このガイドラインも参考にしながら、自社にAEDを設置する必要があるかどうか、また設置するのであればどこに設置すべきかを検討していただけたら幸いです。

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コメント

  1. フェニックス東北 より:

    FBの知り合いから貴ページを知りました。AEDの普及の速度はものすごく早く広まっているんですね。次は、知識 使い方 法的倫理面の普及確立でしょうか。

    自身、2007年 2008年 二度の救急救助を経験するなかで偶然近くに設置されていたことがとてもラッキーだと実感しています。

    日本では、救急隊の現場到着が遅延する地域をファーストレスポンダーによって補完する目的なので企業にとっては「防火責任者」にあたるものだと思っています。

    また 個人においても同様で、学校でバイスタンダー教育が行われつつあります。

    その点でも、記事が AEDに関する基本的な知識を総ざらいできるツールであると嬉しく思っています。

    PS  最近のAED自体随分多機能で使いやすく改善がすすんでいるのですね。
    路上で、使用した2007のものは、案内の「音声」が人込みでかき消されて、聞こえなかったなと。これは愚痴ですが ほとんどの人は見て見ぬふり(どうしたらよいかわからない)この点でもこの10年間 普及に努めてきた方々の努力に惜しみない感謝を申し上げたいと思っています。

    1. AEDブログ より:

      メッセージありがとうございます。
      2度も救急救助の経験をされたのですね。実際に活用される方がいてこそのAEDですので、活用された話をお聞きでき嬉しく思います。
      仰るとおり、AEDの普及は進んでおり、知識や倫理面の普及が次の課題となっている状況だと私も認識しております。
      まずはAEDがある事、次にそれが正しく使用される事、この2点で初めて救命が可能になります。このブログでは使い方等の認知に少しでも貢献できたらと思っております。

  2. 鬼頭明美 より:

    こんばんは。たいへん参考になりました。学校の敷地内に、何個、どこに設置すればいいのか、いつも話題になりながらも、もやもやした結末になっていました。みんなで考える基準にさせていただきます。

    1. AEDブログ より:

      鬼頭さま
      コメント頂きありがとうございます。個人的に学校への適切な設置は非常に重要だと考えております。微力ではありますが、そのお役に立てたと思うと大変うれしいです。
      お知らせ頂きありがとうございました!

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