AEDの使い方を、図を交えて丁寧に紹介。小児の場合の相違点も。

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あなたは、近くで誰かが倒れた時AEDを使って救命できますか?

AEDは日本で50万台程設置されていると言われていますが、実際にAEDを活用できる人がどれだけいるかというと、非常に少ないのが現実です。

市民により目撃された心原性心停止患者23,296名のうち、AEDを用いて電気ショックが実施されたのはその中の3%(738名)というデータもでています。

使い方は簡単です。いざと言う時に備えて確認しましょう。 当記事では、AEDを使用できる人が少しでも増える事を願い、AEDの使い方をまとめました。いざという時に備えて一度確認しておいていただけたらと思います。

目次

    1. AEDを使用する流れ
    2. 小児に使用する場合の相違点

1.AEDを使用する流れ

1-1. 電源を入れる

AEDを使用するにはまずAEDの電源を入れます。電源の入れ方は、「電源ボタンを押すもの」、「蓋をあけるもの」、「レバーを引くもの」など種類があります。ボタンを押すものは、強めに長く押さないと電源が入らない場合もあるのでしっかりボタンを押すようにして下さい。

電源が入ると音声ガイダンスがはじまりますので、ガイダンスに従って操作をしていきます。

成人・小児の切替えスイッチがついている機種だと、成人モードに設定されているか小児モードに設定されているかのガイダンスがありますので、正しいモードに設定されているかどうかを確認してください。適切でない場合は切替えスイッチを切り替えます。

筆者注記1:電源を入れるだけ。 とにかく電源を入れましょう。あとはAEDが音声で使い方を教えてくれます。基本的に誰でも使えるように文字やイラストで「電源ON」などと書いてあります。電源を入れる。使ってみる。これが大事です。

>関連記事:AEDの使い方って同じじゃないの!?電源の入れ方3パターン。

1-2. 傷病者の状態を確認する

AEDの電源を入れる前に傷病者の意識や呼吸の確認をしているケースも多いと思いますが、AEDの機種によっては、電源を入れた後に傷病者の意識と呼吸を確認するよう促します。

確認の際は、傷病者に声をかけたり、肩をたたいたりして反応をみます。特に鎖骨のあたりを叩くと刺激が伝わりやすいです。はじめは軽く、それで反応が無ければ強めに叩いて反応があるかどうかを確認してください。

倒れている人に肩をたたき意識の確認中

呼吸の確認は、口に顔を近づけて吐息を確認したり、腹が上下に動いているかどうかを見て行います。ご自身の腹を一度見てみると良くわかりますが、呼吸がある場合は、腹が上下運動をしています。また時間も大事です。呼吸の確認は時間を掛けずに10秒以内で判断しましょう。

医療従事者の場合は、脈があるかどうかを確認する方法もあります。

筆者注記2:呼吸の確認は口元だけで判断しないようにしましょう。 死戦期呼吸と言う症状があります。しゃくりあげるような呼吸の事をさしますが、心停止時に起こるこの呼吸は一見、呼吸をしているように見えます。
その為、声掛けや腹部を確認して正常な呼吸をしているか確認します。

1-3. 傷病者に電極パッドを貼る

意識・呼吸が無い場合は、AEDを使用するために傷病者に電極パッドを貼る流れに入ります。電極パッドを傷病者に貼ると、AEDが心電図を読みにいき、電気ショックが必要な心電図かどうかを判断します。

電極パッドを貼るためには、傷病者の衣服を脱がす必要があります。また傷病者の胸部が汗や雨等で濡れている場合はタオル等で吹きとって、できるだけ清潔な状態にして下さい。

AEDの音声ガイダンス例

「胸を裸にして、電極パッドの入った袋を取り出して下さい。」
「袋を破いて、パッドを取り出して下さい。」
「パッドをシートから剥がして、右胸と左わき腹に貼って下さい。」

なお、AEDには、電極パッドがAED本体に接続されているモデル(プリコネクト式)と、AED使用時に接続するモデルがあります。

・プリコネクト式の場合

プリコネクト式のAEDは電極パッドがAED本体に始めから接続されているので、電極パッドの袋を破り、パッドをシートから剥がして傷病者に貼ります。音声ガイダンスでそのように指示がでるので、指示に従って下さい。新しいAEDはプリコネ式のものが多いです。

・プリコネクト式ではない場合

プリコネ式ではないAEDでは、電極パッドの袋を破って電極パッドを取り出し、コネクタをAEDに差し込んで接続した後電極パッドを傷病者に貼ります。この場合も音声ガイダンスでそのように指示がでるので、指示に従って下さい。

筆者注記3:電極パッド様式の現状 私は定期的に消防署でAEDの講習を受けていますが、私が行く消防署で使われているAEDはプリコネ式ではありません。

新しいAEDはプリコネ式が多いですが、AEDは耐用年数が7年程あることもあり、まだまだ古いタイプのAEDも設置されています。

だんだん設置されているAEDもプリコネ式に入れ替わってきており、今後講習にもプリコネ式が使われるようになっていくとは思いますが、まだプリコネ式ではないAEDも多く設置されており、講習でもプリコネ式ではないAEDを使用している所が多くあるものと思います。

プリコネ式ではないAEDで講習を受けた人がプリコネ式のAEDをみると少々混乱するかもしれませんので、電極パッドが初めからAEDにささっているAEDがある事を知っておいてください。

・電極パッドの貼り方

電極パッドは2枚あります。1枚のシートの裏表に貼られているケースと、それぞれのパッドのジェル部分にシートがついているものがあります。このシートをはがして、傷病者に電極パッドを貼ります。

電極パッドの貼る位置の画

パッドを貼る標準的な位置は、右胸の上部と、左わき腹です。ただ、貼り方について重要な事は、2つのパッドが心臓を挟んでいるかどうかという事です。そのため左胸の上部と右わき腹に貼っても大丈夫ですし、小児の場合は胸と背中に貼る事もあります。

また、どちらのパッドをどちらに貼っても大丈夫です。パッドにはどこに貼るか絵がかいてあるケースが多いですが、そのパッドに書かれている図と反対の位置に貼っても大丈夫です。この場合は取れる心電図が反転するそうです。ただしそれによって心電図を正しく測定できないというわけではありません。

・電極パッドを貼る位置

右胸の上部に貼るほうは、鎖骨の下で胸骨の右側あたり、左わき腹に貼るほうは、わきの下5~8センチ、乳頭の斜め下あたりが適切な場所です。

ただ繰り返しとなりますが、この位置について重要な事は2つのパッドが心臓を挟んでいるかどうかです。

かなり大きく貼る位置がずれない限りは、心臓を挟んだ位置という条件は外さないと思います。そうであれば心電図はとれますし電気ショックも実施できますので、パッドを貼る位置にさほど神経質になる事はありません。

・ペースメーカーがある場合の貼り方

まれに胸部にペースメーカーが入っている場合があります。ペースメーカーが入っている場合はその部分が膨らんでいるのでそれと分かると思います。

その時は、ペースメーカーのふくらみから数センチ離して電極パッドを貼るようにして下さい。この場合も、2枚の電極パッドが心臓を挟む位置に貼られるようにして下さい。

電極パッドを貼るときの注意点は下記記事をご参照下さい。

>参考記事:AED使用時の注意点。体の濡れ、胸毛が濃い、ブラジャーや女性へ配慮等。

1-4. 電気ショックを行う

パッドが貼られると、自動的に心電図の解析がはじまります。

AEDの音声ガイダンス例

「体に触らないで下さい。心電図を調べています。」

このガイダンスの後、電気ショックが必要な場合は電気ショックをする流れに、必要ない場合は、胸骨圧迫をする流れになります。

・電気ショックが必要な場合

電気ショックが必要な場合は、その旨のガイダンスがあります。電気ショックのためのエネルギーの充電のため、機種にもよりますが10秒程度充電が行われます。傷病者に人が触れないように注意しながら、音声ガイダンスを待って下さい。

AEDの音声ガイダンス例

「電気ショックが必要です。」
「充電しています。」

充電が終わると、電気ショックのボタンを押すようガイダンスがあり、電気ショックボタンが点滅します。そのボタンを押して、電気ショックを行って下さい。

AEDの音声ガイダンス例

「体から離れて下さい。点滅しているショックボタンを押してください。」

電気ショックを行う時は、誰も傷病者に触っていない事を確認してください。

なお、ショックボタンが点滅していない時にボタンを押しても、電気ショックは行われません。また、電気ショックを促す音声がながれてから時間がたつと、充電したエネルギーが解放されます。解放までの時間が30秒ほどに設定されている機種が多いようですが、アナウンス後は誰も傷病者に触れてないことを確認した後、迅速にショックボタンを押すようにして下さい。

・電気ショックが必要ではない場合

電気ショックの必要が無い場合も、その旨のアナウンスがあります。その場合は胸骨圧迫を行う流れに移ります。胸骨圧迫を行う時も、電極パッドは貼ったままにしておいてください。

AEDは定期的に心電図をよみに行きます。電気ショックが必要な状態になった時にそれを感知できるように、また迅速に対応できるように、電極パッドははがさないで貼ったままにしておく事がポイントです。

一度剥がしてしまうと、体と接触するジェル部分が汚れて次に貼るときにしっかり貼れなくなってしまう可能性もあります。電極パッドは貼ったら剥がさない事を心がけて下さい。

AEDの音声ガイダンス例

「電気ショックは必要ありません」
「体にさわっても大丈夫です」
「直ちに胸骨圧迫を始めて下さい。」

筆者注記4:判断はAEDがします。 電気ショックが必要な場合は、「必要です。」とガイダンスし、不要な場合は「不要です。」とガイダンスします。
見た目では電気ショックが必要な状態かはわかりません。医師ではない私たちはAEDを使用して初めて分かるのです。

1-5. 心肺蘇生(CPR)を行う

電気ショックを与えたあと、および電気ショックが必要ないとAEDが判断した後は、心肺蘇生を行います。上に書いたように、電極パッドは貼ったまま直ちに胸骨圧迫と人工呼吸を始めます。

胸骨圧迫は1分間に100回以上のリズムで、成人の場合は胸が5cm以上沈む深さで続けます。この、「1分間に100回」のリズムが分かるよう、AEDからリズムの音がでる機種が多いので、そのリズムに従って胸骨圧迫を続けてください。

ガイドライン2010では、30回胸骨圧迫をしたら2回人工呼吸を行う事を繰り返す事を推奨しています。そこでAEDの音声ガイダンスでも、30回胸骨圧迫した後2回の人工呼吸を促すアナウンスが入ります。

しかし、人工呼吸は必須ではありません。人工呼吸をするスキルがある場合、またためらわれる要因が無い場合は実施して下さい。また人工呼吸を行う場合も、1回1秒ほどで実施し、終わったら間をあけず直ちに胸骨圧迫を行います。

・救急隊が到着するまでの行動

傷病者の意識が戻らない場合は、救急隊が到着するまでAEDの音声ガイダンスに従って胸骨圧迫と人工呼吸をつづけて下さい。

傷病者のパッドははがさずに、AEDの電源はオンのまま、音声ガイダンスに従って胸骨圧迫を続けます。

AEDは定期的に心電図の解析を続けます。電気ショックが必要になった場合は電気ショックを行う流れのガイダンスが流れますので、ガイダンスの指示に従って操作して下さい。

この時、傷病者の意識が戻って動けるようになっても、容態が急変する可能性もあります。この場合も、電極パッドは剥がさないようにして下さい。AEDの電源もオンのままにしておいてください。

>関連記事:【解説】一次救命処置の手順。心肺蘇生法ガイドライン2015版

2.小児に使用する場合の相違点

2-1.小児用モードに切り替える

小児に使用する場合は、AEDを小児モードに切り替えて使用して下さい。オーソドックスなものだと成人には150J、小児には50J程の電気ショックが与えられます。

小児には成人の三分の一程度の電気ショックが与えられるよう設計されている事になり、小児に成人用の電気ショックをあたえると、ショックが強すぎる可能性があります。電気ショックによって小児の体が必要以上のダメージを受けないように、切替えを行います。

小児用モードに切り替えると、小児用モードに設定されたことをガイダンスします。

AEDの音声ガイダンス例

「小児用モードです。」

また、音声ガイダンスも一部変わります。胸骨圧迫の深さなど一部において成人と小児で異なる部分があるので、小児の場合は小児に適した内容のガイダンスが行われます。 なお小児の場合は、胸骨圧迫の深さは5cm以上ではなく、胸の厚さの約1/3となっています。

・小児用モードが無いAEDの場合

小児用モードがないAEDは、切替えスイッチで切り替えるのではなく、小児用電極パッドを使用します。

成人用電極パッドではなく小児用電極パッドの袋を破いてコネクタをAEDに接続し、傷病者に小児用電極パッドを貼ります。電極パッドが変わるだけで、音声ガイダンスや手順で変わるところは特にありません。ガイダンスに従って正しく操作して下さい。

なお、小児の傷病者に対して小児用の電極パッドが無い場合ですが、やむを得ない場合は成人用パッドを使用しても罪にとわれる事は無い事になっています。

AEDを使用する状況は、電気ショックをしなければ助からな状況ですから、小児用パッドが無いからといって何もしないよりは、成人用の電極パッドを使用したほうが生存の可能性が高まると考えられます。小児用パッドがあればそれに越した事は無いですが、無い場合、やむを得なければ成人用パッドで除細動するようして下さい。

※小児に成人用の電気ショックを与えた場合は救命される可能性がありますが、成人に小児用の電気ショックを与えた場合は、電気ショックが弱すぎて効果が出ないことが予測されます。くれぐれも成人に小児用の設定で電気ショックを行わないようして下さい。

・小児と成人の判断について

小児は、0歳~およそ6歳未満、と定義されています。

この小児とみなす年齢もガイドラインの更新によって変わってきたものですし、0歳~6歳かどうかは見た目ではなかなか、判断しづらいところだと思います。AEDを使用するタイミングで傷病者の年齢が分かっている場合はよいですが、そうではない場合は体の大きさ等で判断する事になります。

実際には年齢は低くても体の大きい子供もいますし、その逆もいます。なかなか判断のつかないケースが多いことが予想されますが、AEDを使用する状況は1分1秒を争う状況ですので判断に時間を使いすぎないように、迅速に決断するようにして下さい。

この時の考え方の指針として、電気ショックが強すぎると体にダメージがある可能性がある一方、弱いと有効な効果が得られず救命できない可能性がある、という事があります。この事を考慮して私の場合は、迷ったら成人モードで使用しようと考えています。

2-2.体が小さい場合は体の前後ろに貼る

体が小さい小児の場合、右肩と左わき腹に電極パッドを貼るとパッドがくっついてしまう事があります。パッドがくっついてしまうと正しく電気ショックができず危険ですので、そういう場合は、胸側と背中側に貼るようにして下さい。

その場合、図のように胸の真中と、背中に貼ります。この時も2枚のパッドが触れ合う事が無いように注意してください。

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パッドには貼る場所の図が書いてある場合が多く、貼る場所に区別があるように感じてどちらをどちらに貼ったらよいか迷うケースがありますが、どちらのパッドを胸に貼っても背中に貼っても大丈夫です。

小児の場合でも、体が大きく2枚のパッドを胸側にはってもパッドが重なったり接触しなければ、成人と同じようにパッドをはって大丈夫です。

>関連記事:小児・乳児の救命手順、小児一次救命処置(PBLS)【特に乳児の保護者様へ】

まとめ

AEDの使い方の一連の流れをまとめました。基本的にはAEDの電源を入れてその後AEDからの音声ガイダンスに従って操作するだけですが、AEDを使用する場面が命に関わる1分1秒を争う状況である事を考えると、なかなか冷静に作業を進められるとも限りません。

また当記事内に注意点もいくつか書かせて頂きましたが、ちょっとした無知が混乱につながり、救命活動に支障やタイムロスを発生させてしまう可能性も無くは無いと思います。

注意点を知っておくことで混乱する事無くスムーズに救命活動を行えると思うので、是非確認しておいてください。また手順については定期的に確認し、イメージして、いざという時にスムーズに対応できるようにしておいて頂けたらと思います。

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