救命の連鎖とは。覚えておきたい救命効果を高める4つの取り組み。

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救命の連鎖という言葉は、是非覚えておいていただきたい言葉です。これは急変した傷病者を救命し、社会復帰させるために必要となる一連の行いの事で、構成する4つの輪がすばやくつながることで救命効果が高まると言われています。

救命の連鎖の最初の3つの輪は、一般人が担うことになります。これらの役割を知り、適切に行動することで救える命が増えるので、当記事で内容を理解し、イザという時に役立てて頂けたらと思います。 

目次

  • はじめに 救命の連鎖とは
    1. 心停止の予防
    2. 心停止の早期認識と通報
    3. 一次救命処置(BLS)
    4. 二次救命処置と心拍再開後の集中治療

    はじめに 救命の連鎖とは

    傷病者を救命し、社会復帰させるために必要となる一連の行いを、「救命の連鎖」といいます。

     

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    救命の連鎖には4つの輪がありますが、この4つの輪の連携で救命効果が高まります。

    1つ目の輪は「心停止の予防」。2つ目は「心停止の早期認識と通報」、3つ目の輪は「一次救命処置(心肺蘇生とAED)」、そして4つ目は「二次救命と心拍再開後の集中治療」です。4つ目は一般人ではなく、救急救命士や医師により行われるもので、高度な救命医療を意味します。救命の連鎖が全て迅速に行われてはじめて、傷病者の救命が成功する可能性が出てくるとも言われています。逆に言えば、救命の連鎖の輪のどれか一つでも欠けてしまうと、救命の可能性はほとんどなくなるということになります。

     

    欧米に比べ、日本の心肺停止者の救命率はかなり低いといわれており、その原因として一般の人々への救命の連鎖の浸透度合いの低さがあげられる、という見方もあります。救命の連鎖の考え方の浸透が望まれます。

     

    市民の活躍への期待

    3つ目の輪である一次救命処置は、現場に居合わせた市民(バイスタンダーと呼ばれます)によって行われることが期待されています。

    心停止が起こったときは時間との勝負です。救急隊が到着する前に市民が心肺蘇生を行った場合は、行わなかった場合に比べて生存率が高い事が分かっています。また市民が除細動を行ったほうが、救急隊が除細動をうよりも早く実施できるため社会復帰率が高いことが分かっています。

     

    この背景には、除細動のタイムリミットが10分程だということがあります。心停止状態に陥った場合、なんの救命処置もされずに10分経つと、その後の二次救命がいかに優れていても、ほとんど救命できないといわれているのです。

    心停止の救命は、倒れて10分の間に現場に居合わせた人が何をするかで勝負が決まります。一般の方が、救命の連鎖を支える重要な役割を担っているのです。

     

    バイスタンダーの心肺蘇生による救命率の向上については、当ブログの記事、「AEDの必要性とは?なぜAEDの設置が求められるか、背景と理由。」の6章で詳しく説明しています。実際の救命率のデータも記載しています。

     

    1.心停止の予防

    心停止の予防については、子供と大人で意味が若干違っています。「予防」という事では同じですが、気にすべきところが違います。それぞれについて解説します。

    子供の場合

     子供の心停止の主な原因には怪我(外傷)、溺水、窒息などがあります。これらは予防することが可能です。子供がこういった状況に陥らないように、未然に防ぐことが重要です。子供における「心停止の予防」は、これらの心停止の原因を予防する事です。

    成人の場合

    成人の「救命の連鎖」における「心停止の予防」は、成人の突然死の原因として多い急性心筋梗塞や脳卒中の初期症状に気付いて迅速に救急車を要請することです。これら急性心筋梗塞や脳卒中の予防をし、リスクを低下させる事はもちろん重要ですが、これらの症状の予防や予知には限界があります。初期症状にいかに早く気付き、いかに早く適切な対処を行うかが重要です。

    なお、急性心筋梗塞や脳卒中は生活習慣病ともいわれており、癌に続く日本の三大死因です。最近脳卒中に変わり肺炎が死因の第3位に浮上しましたが、肺炎の死者数と脳卒中の死者数に今のところ大きな開きはありません。ここ数年で見れば、3番目の死因という事になります。

     

    2.心停止の早期認識と通報

    早期認識は、突然倒れた人や、反応(意識)の無い人を発見したら、心停止なのではないかと疑う事からスタートします。反応(意識)の確認をして、心停止の可能性があると思われた場合は、周りに大声で応援をよびます。そして119番通報と、AEDを持ってきてもらうように指示します。これによって、AEDや救急隊が少しでも早く到着するようにします。

    なお119番通報は、近年重視されるようになっています。119通報を行うと、電話を通して心肺蘇生などの指導を受けることが出来るからです。自分一人しかいない場合も、まず119番通報をすることが推奨されています。119番通報した際は、適切な指導を受けられるよう傷病者の状態をできるだけ正確に伝えるようにして下さい。

     

    3.一次救命処置(BLS)

    一次救命処置(BLS)は、心肺蘇生(CPR)とAEDの使用が主な内容です。心肺蘇生は止まった心臓と呼吸を補助する行為です。心臓が止まると15秒以内に意識がなくなります。そして3、4分以上そのままの状態が続くと、脳の回復は困難になるといわれています。

    そのため、心臓が止まっている間、血液を送り出すポンプとして機能しなくなった心臓の代わりに心肺蘇生法によって脳や心臓に血液を送り続けることは非常に重要です。これによってAEDによる心拍再開の効果が高まりますし、後遺症を残さない事にも役立ちます。

     

    知識・経験がなければ胸骨圧迫を

    効果的な心肺蘇生を行うためには、胸骨圧迫や人工呼吸の方法を知る講習を受けておくとよいですが、講習を受けていなくても、心肺蘇生を行ってはいけないということではありません。119番通報をしていれば消防の方より指示を受けられますので、それに従って心肺蘇生法を行って下さい。

    人工呼吸は、講習などを受けていないと正しくできない可能性が高いので、特に講習を受けていない人の場合は「胸骨圧迫」に注力することになります。胸骨圧迫は、「強く、速く、絶え間なく」行う事が重要です。強さは胸が5cm以上沈むまで、速さは1分に100回以上、絶え間なくは救急隊が到着するまで続ける、という事です。

     

    市民の一次救命処置による救命率の向上

    救命の可能性は時間とともに低下しますが、救急隊の到着までの短期間であっても救命処置をすることで救命率は高くなります。救急隊を待つ間に居合わせた市民が救命処置を行うと救命の可能性が2倍程度に保たれる事が分かっています。

    情報元:https://www.pmda.go.jp/files/000148093.pdf

     

    AEDの使用

    突然の心停止は、心臓が通常の心拍をうたず細かく震えてしまう状態の「心室細動」によって生じることが多いです。この場合、心臓の動きを戻すためには、電気ショックによる「除細動」が必要です。そのためにAEDが必要です。

    AEDは電極パッドを胸部に貼ると、自動的に心電図を解析して電気ショックが必要かどうかを判断する機器です。電源を入れるとAEDから音声のメッセージが流れ、パッドを取り出すところから細かく教えてくれるので、操作は難しくありません。訓練を受けていない人でも使う事ができますので、イザというときには勇気を出して使用してください。もちろん、講習で心肺蘇生とともにAEDの使用方法を身につけておくことが望まれます。

     

     一次救命処置を行えるようになるには講習を受けておくのが理想的ですが、なかなか講習に行く時間を捻出するのも難しいのが実状だと思います。例えば当ブログの「一次救命処置(心肺蘇生法とAED)の手順7ステップ+α」では一次救命処置の手順を図付きで解説していますが、インターネットや本などでやり方を確認しておくだけでもイザという時に違いが出ると思います。出来ることから始めて頂けたらと思います。

     

    4.二次救命処置と心拍再開後の集中治療

    救急救命士や医師は、一次救命処置(BLS)と平行して薬剤や気道確保器具等を利用した二次救命処置を行います。これにより、より多くの状態の傷病者で心臓が再び拍動することを目指します。心拍が再開したら、専門家による集中治療によって、社会復帰を目指します。

     

    まとめ

    救命の連鎖について知ると、傷病者を目撃した一般市民の行動の重要性がよく分かると思います。傷病者をみつけたあなたが行動しないと、助けられない命があります。イザという時はその事を思い出し、勇気を持って行動して頂けたらと思います。

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